THE FOOTBALL FACTORYを見直した。最初に見たのは4月のロイヤルウェディングに沸くLONDONのHampsteadのその名もBritania Hotelという安宿で、おめでたい日になんて腹黒い映画をやるもんだと思いつつ、オープニングの乱闘シーンから引き込まれ、パブにでかけるタイミングを逃してビールとチップスを階下で買い込んでがっつり観ちまったもんです。

フットボールファクトリー [DVD]

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チェルシー・ホーム、リバプール・アウェイ、FAカップ組み合わせ抽選などチャプターはサッカーシーズンに合わせて進行するこの映画、主人公のトミー・ジョンソン(TJ)の語りによってプレミアリーグチェルシーFCの「ファーム」すなわち武闘派メンバーのストーリーだということは、イングランドのサッカーを知らない人が見たら全くピンと来ないはず。なので実際のサッカーの試合のシーンはスタジアムも含めて一切出てこないサッカー(サブカルチャー)映画という非常に奇特な映画です。

スタジアムシーンが出てこないのはもう一つ意味があるようで、オープニングでCCTV(街中のセキュリティカメラ)で「ファーム」の特にマークされたメンバーの動向がモニターされている(と推測できる)映像編集によって彼らがホームスタジアムに出入り禁止になっていることがなんとなくわかります。

スタジアム出入り禁止になるのは相手を煽ったり、喧嘩したりしたからで、彼らはサッカーの試合の結果がどうであれ相手チームを罵倒したり、優越感に浸ったり、相手を屈服させたい衝動を抑えられないことが原因なようです。

困ったことにこの手の人たちは、そのうち試合なんかどうでもよくなって、スタジアムに入ろうが入るまいが関係なく、敵を見つけてぶっ飛ばすという行為だけに生きがいを見出していきます。そうです。これがフーリガンというやつです。

ファームに中にはクラブへの忠誠により敵のサポーターと対決する古株リーダーもいれば、学校にも行かず生活保護受け、こそ泥や引ったくり、カツアゲなどで生活しているいわゆるCHAVなガキ(バーバリーのキャップかぶってる)もいたりする。主人公のTJはいい年(30ぐらい)して酒とドラッグと喧嘩に生きがいを見出しているファームの武闘派中心メンバー。

この映画がどの程度リアリティがあるのかは疑問でしたが、先日のロンドンとイングランド全体に広がった暴動の映像などをみると、8,9割は当たっているんではと思いましたね。イングランドの暴動は①反権力の意思を持ったプロテスト、②とにかくぶっ壊したい、気に入らない奴はぶっ飛ばしたい衝動的暴徒、③ぶっ壊しついでに適当にかっぱらっちまう火事場泥棒という風に分けられそうなので、この図式はいわゆるフーリガンでも一緒。志があるやつ。とにかく暴れたいやつ。暴れるに乗じて実利を得ようとするやつ。

階級社会の閉塞の背景とか人種対立があるとかいろいろ暴動略奪の原因は言われていますが、基本は「反抗する」、「闘争する」ことに意義を見出している人たちのように思います。荒くれ者の末裔なんですね結局。


そういえば、Foot Brainでサッカー映画が取り上げられていて、ニック・ホーンビーのFever Pitchも邦題「僕のプレミアライフ」として取り上げられてました。さすがFoot BrainはサッカーのDNAが濃いとうんうん頷いてましたが。他のマニアックなサッカー(関連)映画は紹介されなかったので下記にあげておく



これはみてない。ただのクライムストーリーなので見なくてもいいかな。



Factoryと同じNick Loveが監督。取り寄せてみたいなあ。


ミーン・マシーン [DVD]

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これは面白い。主演のヴィニージョーンズは元サッカー選手でウィンブルドン時代がガスコインカントナとやりあった悪童。ガイ・リッチーの映画でおなじみ。
http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/football/7257240.stm