98年フランス大会からサポティスタの「立ち位置」にはシンパシーを持って見ていたので、予想通り面白かったです。引用は多いですが引用元も偏向した識者関係者や提灯記者、報道メディアではなく、バランスのとれた客観的な意見が用いられており好感が持てます。たとえば、イングランドでは1923年に設立された88のサッカークラブのうち97%が07/08シーズンにおいても存続しているというサイモン・クーパーの著書からの引用などは、不景気などで運営が立ち行かなくなる日本の企業スポーツへの依存体質との対比として興味深いデータだと思います。


台湾に生きている「日本」 (祥伝社新書149)

台湾に生きている「日本」 (祥伝社新書149)

私の父親が戦前生まれの台湾育ちということで昔から話をよく聞かされていたということもあり、気になっていた台湾の隣人たちの日本への郷愁、憧憬が丁寧な取材を元に書かれた良書。
植民地経営という国策事業ではあるものの、後藤新平など優れた為政者により近代化することが出来た台湾にとって日本はお手本であり、終戦後国民党政権による日本文化の排斥運動などに遭っても遺構や言い伝え脈々と現在まで守り続けられている事実からも、昨年問題になったNHKスペシャルの「シリーズJAPANデビュー」における「反日」的な偏向が誤りだということがわかります。いや、植民地経営なのだから反抗・抵抗勢力があったことは当然です。それを強権、武力で抑えたことも事実なわけですが、それでも余りあるベネフィットを日本がもたらしたということに自分たちは誇りを持たなければなりません。それを後世まで言い伝えることも責務です。
来年、例年行なわれる草サッカー大会が台湾で行なわれます。その際には父親や祖父母が生きた場所などをたずねて見たい思いに本書を読んだ後駆られました。